2026年6月23日、湯山玲子の悪い子のためのブッククラブによる読書会イベントがオンラインにて開催されました。
今回の課題図書は、元中国大使であり実業家の丹羽宇一郎氏による渾身の警鐘の書、『Z世代は戦後初めて銃をとる世代になるかもしれない』です。
世界中で地政学的リスクが火を噴き、日本国内でも平然と「有事」が語られる今、私たちが対峙すべき「平和の本当の姿」とは何なのか?
湯山玲子が自身のメディア体験や国際ビジネスの現場感覚を交えながら、綺麗ごと一切抜きに語り尽くした模様をお届けします。
💡 「平和はバラ色ではない」── 湯山玲子が深く共鳴した、丹羽流リアリズムの正体
「この本が突出して面白かったのは『平和についての見解』。
出会えて本当によかった」と、湯山さんは熱く語り始めます。
私たちが目指すべき平和とは、けっして美しく理想的な世界ではない。
丹羽氏が説く「消極的平和(=とにかく戦争がない状態)」という冷徹な定義に、湯山さんは深く首を縦に振ります。
• 理想の平和 vs 現実の非戦: みんなが自立し、尊重し合う美しい「積極的平和」は理想。
けれど、現実はそんな甘いものではない。
たとえ誇りを捨てたと言われようとも、とにかく「戦争状態に突入しないこと」。
これを持続させるための泥臭い「胆力」こそが、今もっとも必要なのだとします。
「私たち日本人は綺麗ごとやファンタジー(物語)が大好き。
四畳半一間で世界を想像した鴨長明の時代から、ジブリや歌舞伎、そして現代の『推し活』に至るまで、想像力のコンテンツ力は凄まじい。
けれど、だからこそ、この“誇り高くもなく、辛気臭くてどんくさい平和”にイライラしてしまう国民性がある。そこが一番怖い」
湯山さんは「命のためにヘラヘラ逃げる方が、非戦・平和としては絶対に正しい。
けれど、愛国心や誇り、人間の尊厳というメンタリティは、容易に『戦うエネルギー』へと裏返ってしまう」。
もし今、Z世代が同調圧力に抗って「地獄のような孤立」を選んででも戦う意志を下げられるのか。現代のSNS社会は、かつての新聞やテレビ以上に「戦争の発火点(着火点)が低くなっている」というリアルな恐怖が共有されました。
⚔️ エマニュエル・トッドの『各武装論』 vs 丹羽宇一郎の『不戦の忍耐』
さらに読書会は、「核抑止論の比較」へと発展。
湯山さんは、話題のエマニュエル・トッドの著書『西洋の敗北』を引き合いに出します。
トッド氏は「アメリカの核の傘(同盟国ケア)など幻想(=日本が攻撃されてもワシントンを犠牲にしてまで守るわけがない)」と断言し、持たざる国と持つ国の「核の非対称性」こそが戦争を生むため、日本は自立のために核武装すべきだという核武装論者です。
一方、丹羽氏は「対話と忍耐、バラ色ではない平和」を掲げるハト派。
この両者の奇妙な共通点として、「アメリカは日本を守るためではなく、日本を二度と軍事大国化させないための『瓶の蓋』として米軍を駐留させている(=だから核武装など絶対にさせない)」というアメリカ側の冷徹な論理を提示。
目から鱗が落ちるような複雑な国際政治の二者択一を前に、「いくら論理的にトッドが正しく見えても、核という制御不能なパワーの暴走性を考えれば、子どもに刃物を持たせるようなもの。私はやはり、丹羽さんの説く泥臭い忍耐の道を行くべきだと思う」と語りました。
「日本人はもともと平和を愛する従順な民族である」という「徳川300年の安泰神話」を、丹羽氏の言葉を借りて「明治以降、前回の終戦まで日本は常に戦争をやり続けてきた好戦的な国だ」と一蹴する湯山さん。
東西に引き裂かれ、NATOの最前線として軍隊を持たざるを得なかったドイツとの地理的条件の違い(島国というアドバンテージ)。
そして、キューバ危機や沖縄の米軍基地で起きた「誤発射命令」を首の皮一枚(現場の部隊長の機転)で生き延びてきた薄氷の歴史。
それらの幸運を忘れ、今や物語に酔いしれながら、自ら戦争にすり寄っていこうとする現代日本の舵取りに、湯山さんは強い警告を発しました。
「じゃあ、これからを生きる若い世代はどうすればいいのか?」
答えはシンプル。
「戦う意志(モチベーション)を意地でも下げること」。国のために命を燃やす美学に憧れる瞬間があっても、、冷徹な知識と知恵で理性で抑え込むこと。
綺麗ごとを排し、「非戦」にしがみつく胆力こそ重要。
当クラブでは、今後も文学、社会学、ポップカルチャーまで、あらゆるジャンルの「大衆の欲望」を解剖する刺激的なイベントを企画してまいります。 今回ご参加いただけなかったみなさまも、ぜひ課題図書を片手に、次回のインテリジェンス溢れる読書会にご期待ください!
湯山玲子カルチャーサロンでは湯山さんとトークや観劇を楽しむオフラインイベントを定期的に開催しております。
ご入会もお待ちしております!
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