女性初の総理大臣誕生にちなんで、ということは全くないのですが、今回の本のヒロインはこれまでのミステリー系譜にはついぞ現れてこなかったタイプ。つまり、暴力において凄腕の遣い手であり、その快感を熟知する女性が主人公。女闘士はこれまでにも映画『キル・ビル』のザ・ブライドや『マッドマックス 怒りのデス・ロード』のフュリオサ、コチラは薬による覚醒結果ですが『ルーシー』など、様々に描かれてきましたが、コチラの主人公がひと味違うところは、彼女が「趣味は暴力」といった、暴力の快感肯定アンド内蔵型タイプのキャラだということ。私なんぞはついつい関東連合を危機に追い込んだ喧嘩の天才・木村兄弟などを思い起こしてしまいました。

    ハードコアバイオレンステイストでありながら、そこに男尊女卑の最も醜悪な形である人権蹂躙と支配、戦う女性ふたりのシスターフッドなタッグ、カタルシスを許さない確信犯的エンディングなど、フェミニズム問題のDNA、そして、ちょいカズオイシグロ的な読み手の予測をはぐらかす文体が効いているところが、世界で最も知られたミステリー文学賞、英国推理作家協会賞翻訳部門に輝いたゆえんでしょうか。
    
    暴力→男の本性→だからダメ。というポリコレ的紋切り型志向から自由な女性のヴィラン系ヒロイン像は、実は最近、目立っており、ドラマ「闇金ウシジマくん外伝    闇金サイハラさん」なども、チェックしてみるのも一興。

ということで、思いついた今回のワタクシからのお題があります。

この作品、映画化されるとしたら、その監督、及びキャスティングは誰がいいか?

皆さんのご意見を心待ちにしています。

ともあれ今回は分析に役立つ関連コンテンツも多いので以下に記しておきます。
ご参考までに。

#映画『お嬢さん』
#映画『キャロル』
#『遺書 ~関東連合崩壊の真実と、ある兄弟の絆』著/瓜田純士
#『さくらんぼの性は』ジャネット・ウィンターソン
#『クレオパトラ氷の微笑』森園みるく
#『ダーク』桐野夏生

▪️タイムライン
19:00-19:05  冒頭挨拶
19:05-19:45 チームに分かれて読書会
19:45-20:15 湯山さんレクチャー
20:15-20:30 質疑応答