どうして今、読書が必要なのか?! といえば、実は現在がとんでもない動乱期だからに他なりません。SNSでは「何が本当か分からない」のはもはや当たり前すぎ、周囲の不安のタネは肯定、否定の両方を読みといて、自分自身の生き方と照合して、「それって絶対なくならないけど、もう恐怖ではない」とツカミを得るのには読書が最も効果的なのです。ちなみに、映画もそういう力がありますが、どうしても感情バイアスをかけられてしまうので、要注意。
 
    で、目下の最大不安要素はズバリ戦争。日本は戦争可能な国に変容しつつあるので、やるやらないにしろタイムリミット。私はリベラルから保守まで、けっこう目を通していますが、多くの書籍が「戦争をする人間とはなんぞや?」という事実認識、哲学がないため、前者「罪も無い赤ん坊が死ぬことのない世界を→泣」後者「愛する人を守るため戦うのが人間→泣」という、どちらも頷かざるを得ない結論がピンとこないことが多いのです。
 
    その中でもこの著者は、戦争体験者でなおかつ伊藤忠の不良債権整理者という、たぶん、人間の欲と悪の最もシビアな部分を経験した人物。「人間は戦争を止められない」「経験は語り継げない」という確信から、力強い非戦論を展開していきます。    起業家らしく、実は「お得どころかソンばっかりの戦争」というところも面白い。
 
    ネットでは「日本は中国の属国として生きていけばいいのです」という彼の発言が切り取られてパッシングされていますが、それは失言ではなく「平和という状態が実はかっこ悪く、居心地は悪いのだ」という彼の持論がバックボーンだったりするんですよね。
 
そう、マジで攻めてきたら、なりふり構わず逃げて自分の命だけは守るか?、いや、子供やニッポンのために戦うか?    みなさんはどっちですか。ちなみに、以前、「ソ連と戦っても負けるから、ウクライナはさっさと降参した方が良い」といったコメンテーターがいて、超絶バッシングされていたこともありましたっけ。

明日はどっちだ?!
 
丹羽    宇一郎        【著】
にわ    ういちろう
 
1939年愛知県生まれ。名古屋大学法学部を卒業後、伊藤忠商事に入社。1998年に社長に就任。1999年に約4000億円の不良資産を一括処理し、翌年度の決算で同社史上最高益(当時)を記録。2004年に会長に就任。内閣府経済財政諮問会議議員、日本郵政取締役、国際連合世界食糧計画(WFP)協会会長などを歴任し、2010年に民間出身では初の中国大使に就任。現在、公益社団法人日本中国友好協会名誉会長。著書に、『人は仕事で磨かれる』(文藝春秋)、『丹羽宇一郎 習近平の大問題』『丹羽宇一郎 令和日本の大問題』(共に東洋経済新報社)、『死ぬほど読書』(幻冬舎)、『生き方の哲学』 (朝日新聞出版)、『老いた今だから』(講談社)など多数。

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